2025年3月 4日(火)
太田昌克の視点
『太田昌克の視点』
正念場のウクライナ 牙ある安全の保証が鍵
2025年2月28日(金)放送分より
日本時間の今晩、ディール外交を展開するトランプ米大統領と、ゼレンスキー大統領が会談する。
トランプ氏は「プーチン大統領に寄りに過ぎているのではないか」との、NATO外交官の懸念が渦巻く中、ウクライナは正念場を迎えている。停戦するにしても、安易なディールにしないために「安全の保証」には「牙」がなければならない。
この放送の前にウクライナのコルスンスキー駐日大使に電話取材したところ、「ロシアがウクライナを再攻撃しようなどと、おくびにも考えないほどに強力な保証が必要」だと述べた。具体的には、ウクライナ・ロシア国境に展開する多国籍軍の規模や役割が鍵になるとみられる。
例えば、多国籍軍はロシア軍を撃退できるほど強力な兵力になるのか。ロシアに攻撃された場合、NATOとして集団的自衛権を行使して反撃できるのか?
いずれにせよ多国籍軍に「牙」がないとウクライナが求める「安全の保証」は成立しない。英仏は多国籍軍参加に意欲を示すが、トランプ氏は米軍参加に否定的だ。
コルスンスキー大使は「力による現状変更は許さない」と訴えてきた「日本の意見に多くの国が耳を傾ける」と述べ、国際世論とトランプ氏への日本の影響力行使に期待をにじませた。
この放送の数時間後、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談がホワイトハウスで行われたが、「安全の保障」と「鉱物資源」のディールを巡って折り合えず、激しい口論の末、会談は決裂した。
※このコーナーでは、BS11の報道番組で放送した内容を元に記事にして掲載しています。
一部情報は掲載の時期によって更新されることもありますので、予めご了承ください。
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番組キャスターで共同通信編集委員、ジャーナリストの太田昌克が取材したネタを中心に、独自視線で語るコーナー。毎月第2・第4金曜日放送中。