#1  象は忘れない ELEPHANTS CAN REMEMBER(前編)

1925年のイーストボーン。ある晴れた日の夕方、散歩に出かけていた"レーブンズクロフト将軍夫妻"が死体となって発見される。連れていた犬を崖の上に残し、側には護身用のピストルが落ちていた。13年後・・・推理作家大賞の受賞者として紹介される"オリヴァ夫人"。彼女はレーブンズクロフト家の娘である"シリア"の名付け親だ。そんな彼女に"謎だらけの悲劇"として語られていた13年前の夫妻の死を解明してほしいと"バートンコックス夫人"が近づく。夫人の息子で幼馴染みの"デスモンド"との結婚を考えているシリアからも、両親の死の真相を知りたいと依頼されたオリヴァ夫人は、旧知の仲であるポワロに助言を求める。ところがポワロは、友人である"ウィロビー博士"の父親が研究所で溺死していた事件の捜査のため、オリヴァ夫人に力を貸すことが出来ない。ポワロから「過去に立ち戻る必要がある」という言葉を受けた彼女は単身、自分の嗅覚を信じてイーストボーンに向かう。