第35回 神々を先導する男たち -2024祇園祭・宮本組の熱い夏-
『京都画報』では2022、23年、祇園祭 前祭と後祭の山鉾巡行をそれぞれ紹介してきました。しかしながら、9世紀に疫病退散を祈願して始まった御霊会を起源とする祇園祭が八坂神社の神事である事、また祭が1ヶ月間にわたって開催され、巡行以外にも様々な神事、行事が行われている事など、まだまだ祭の全貌をお伝えするには至っておりません。
そこで今回は、前祭・後祭巡行の夕刻から行われる神幸祭、還幸祭に焦点を当て、八坂神社の厳かな神事と、壮麗な神輿渡御を紹介します。神事から渡御を陰で支える「宮本組」とは?組員の方々の活動を通じて、命懸けで神に御奉仕する宮本組の熱い夏をドキュメント。
出演の常盤貴子も、祭の本義である神事と、それに伴う神輿渡御を一度は見てみたい!と熱望していた取材です。
▶宮本組
八坂神社の氏子組織の1つ。氏子区域には「清々講社(せいせいこうしゃ)」と呼ばれる氏子組織があり、氏子の取りまとめや祭礼の奉仕を行っています。その中の筆頭が宮本組で、清々講社の中でも特に重要な役割を担っている氏子組織です。
▶「祇園祭のはじまり地」と言われる神泉苑
「祇園御霊会(ごりょうえ)」が行われた場所。貞観11年(869)、当時日本全国ではやっていた疫病を鎮めるため、当時の国の数、66本の矛を立て祇園社から神泉苑へ神輿を送り、災厄の除去を祈った事が祇園祭の始まりと言われています。
▶八坂神社
平安京創建以前からこの地に鎮座すると伝わり、京都の人たちからは「祇園さん」の愛称で親しまれる歴史ある神社。全国におよそ3000社ある八坂神社の総本社で、1654年の再建された神々がしずまる本殿は2020年に国宝に指定。八坂神社は、四神相応の地・京都において、東の青龍が棲まうとされています。本殿下には、その青龍が住むという「龍穴(りゅうけつ)」があり、地下の水脈で神泉苑と繋がっているとも言われます。
▶宮本組の神事
八坂神社の氏子組織である宮本組も、7月に入ると、独自の神事を執り行います。吉符入りは例年、7月1日。
▶神輿洗い
7月10日と28日に行われる神輿を水で清める神事。
▶神幸祭・神輿渡御
総勢で2000人の輿丁が担ぐ神輿渡御。
▶御旅所
三基の神輿が24日の還幸祭まで御旅所にとどまります。
▶還幸祭
7月24日、後祭の山鉾巡行。1週間御旅所に留まった神輿は、ふたたび氏子区域を巡行し、八坂神社へと戻られます。
【出演】
野村明義(八坂神社 宮司)
原悟(宮本組 組頭)
澤木政輝(宮本組 常任幹事)
辻雅光(中村楼)
【協力】
八坂神社、宮本組、清々講社、三若神輿会、神泉苑、祇園祭山鉾連合会、長刀鉾保存会、月鉾保存会、中村楼、いづ重、林万昌堂、東華菜館