第2話  火に趁(つけこ)んで打劫(うばいと)る

諸葛(しょかつ)氏に代々仕える密偵の家系に生まれた荀詡(じゅんく)は、司聞曹の曹掾・馮膺(ふうよう)から、裏切った白帝(はくてい)を始末するようにと命を受け天水に向かう。白帝の正体は、荀詡の義兄弟で従妹の翟悦(てきえつ)の夫である陳恭(ちんきょう)。長年、曹魏に潜伏した彼は、天水郡守・郭剛(かくごう)に信頼され主簿となっていた。だが、諜報機関である間軍司の司馬・糜冲(びちゅう)だけは彼を疑っていた...。