第1話  私鋳銭組織を追って

時は17世紀後半、朝鮮王朝の都である漢城(今のソウル)の警備を担う左捕盗庁に、チェオクという若い茶母(タモ)がいた。茶母とは、役所で下働きに使われる女のことである。才が働くうえに武芸にも優れたチェオクは、ひそかに捜査にも携わった。当時、漢城にとどまらず、各地で私鋳銭を製造する闇組織が大きな問題になっていた。左捕盗庁の長である従事官の命を受け、チェオクは男装して京畿道に潜入、そこで一組みの男女と出会う。