第132回 愛知県豊橋市で名割烹の美食と銘酒を堪能
今回の舞台は、愛知県豊橋市。東は静岡県と接し、南は太平洋、西は三河湾に面しており豊かな自然と温暖な気候に恵まれたところです。江戸時代には城下町として、また東海道五十三次の宿場町として栄えました。本日は伝統の食文化と、太田さんがこよなく愛する東海道の名割烹をご紹介します。
豊橋を代表する食には、いずれも100年以上続く独特な食文化が長く育まれています。創業1807年の「きく宗」。江戸時代から菜めし田楽を提供しており、変わらぬ味わいを保ち続けています。細かく刻んだ大根の葉をご飯に混ぜた菜めしに、甘辛の赤味噌だれをしみこませて焼いた豆腐田楽。旧東海道の街道めしとして、時代の雰囲気をも存分に味わいました。
さらに久しぶりに父と娘が営む東海道の名割烹「割烹・千代娘」を訪ねました。昭和32年創業。伊良湖直送の鮮魚や地場の野菜を活用したおばんざい料理を提供しています。まずは地酒「純米吟醸 周太郎」から。合わせる肴は、菜花浸しに鰆と赤貝のお造り。旬の旨味を存分に味わえる逸品です。そして念願の茶碗蒸しは、卵地と丁寧に引いた出汁の旨味が絶妙。シンプルだからこそご主人の腕の確かさが冴えわたります。