死神の矢
ある日、金田一耕助(古谷一行)と友人の等々力警部(ハナ肇)は、琵琶湖でのんびりと釣り糸を垂れていた。普段は殺人事件の解明に協力しあっている二人だが、この日は休日をとって寒ブリ釣りを楽しんでいた。しかし、突然一本の矢が二人の耳もとをかすめ、穏やかな雰囲気は一変した。続いて二人の頭上を二本の矢が飛び去っていった。一本は耕助たちの近くに浮かぶ無人の艀に立てられたハート形の標的に命中する。三本の矢は、高見沢康雄(嵯峨周平)、神部大助(大村波彦)、伊沢透によって射られたものだった。三人は京都に住む考古学者・古館睦夫(山口崇)の娘・早苗(長山洋子)をめぐる恋のライバルで、ともに早苗に求婚をしていた。この日、古館父娘に高見沢ら三人、そして早苗のバレエの先生・松野鶴子(汀夏子)、早苗の友人・恵子(土屋貴子)の計七人は琵琶湖に遊びに来ており、古館が提案した余興で艀上のハートを早苗の心に見立てて三人が矢を放ったのだった。その時、等々力警部は知り合いである鶴子に気付き驚いた。以前、鶴子が主宰するバレエ団のプリマ・三田村文代(麻生えりか)が変死した事件を担当したのだ。睡眠薬を飲みすぎとして処理された事件だったが、鶴子はこの事件に大きな疑問を捨てきれないでいた。一方、留守中の古館邸には、顔に大きな刀傷のある不気味な男が伊沢を訪ねてきた。男は乱暴に室内を探し回った後、家政婦・佐伯立子(松尾嘉代)に伊沢宛のメッセージを託して去る。その後一同が帰宅して楽しい晩餐が始まろうという時、第一の惨劇が起きる。食卓に姿を見せない伊沢が、バスルームで変死体となって発見されたのだ。腰にタオルを巻いた姿で心臓を白い羽の矢に貫かれ、息絶えていた。状況から判断し、古館邸の裏山から射られたと推測されたが、耕助はなぜか気にかかる。そして伊沢に残されたメッセージから、J・Kと名乗る謎の人物の存在が明らかに。耕助と等々力は、所轄の刑事・山本(草薙幸二郎)と協力して捜査を進めるが、やがて神部も死体となって発見される。しかも凶器は神部が放った矢だった。次に狙われるは高見沢。耕助は事件を推理してゆくが...。
出演:古谷一行、松尾嘉代、汀夏子、山口崇、長山洋子、麻生えりか、土屋貴子、嵯峨周平、大村波彦、草薙幸二郎、ハナ肇 ほか