第120回  東京・築地で銘酒と絶品魚料理を堪能

今回の舞台は、都内でも有数の観光地である築地。1935年から83年間にわたり東京の台所として親しまれてきました。現在も築地場外市場は営業中。「築地魚河岸」など新名所も誕生し、「食の街・築地」は健在です。老舗の変わらぬ味といま話題の名店をご紹介します。

まず1件目は、47都道府県の地酒を用意した地酒専門の立ち飲みショットバー「クニザケ屋」。太田さんも半分は知らない銘柄があると言わしめた品揃えです。「嘉泉 夏酒 特別純米」はやや甘ですっきりとした呑み口。「辻善兵衛 純米吟醸雄町」はコクもキレもバランスよくまとまった納得の一品。ご主人・土屋さんの確かな目利きに太田さんも大満足です。

待望の2件目は、1940年開店の「多け乃」。太田さんがサラリーマン時代から通った名店で路地裏の老舗は、昔ながらの昭和の風情が漂っていました。まずは「富翁 白牡丹」の燗で。合わせる肴は、肝を絡めたかわはぎ刺に、あじたたき入り納豆。新鮮な素材の旨味が広がります。そして名物のメバル煮魚を注文。継ぎ足しされる煮汁からは様々な魚の旨みが詰まった、まさに老舗がなせる技。伝統の味に、太田さんも嬉しさがこみ上げてきました。

時代に寄り添い、変化を遂げる築地界隈。丁寧な仕事とおもてなしで、食の街を支える名店の味を堪能します。

太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選
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