第28話 悲劇の第2章
しのぶが姿を消して七年──。千鶴子は院長の娘として大丸病院の事務室で働いていた。耕造に大切に育てられながらも、しのぶのことを思うと、千鶴子はふっと、自分はこの家にいてもいいのだろうかと不安になる。
則子は千鶴子に見合い話を次つぎと持ってくる。澄夫に病院を継がせたい則子は、千鶴子に早く結婚してもらいたがっていた。が、千鶴子には哲也という恋人がいた。哲也には妻がいたが、千鶴子はこのままの関係で満足していた。
運命のいたずらか、実は哲也の妻はしのぶだった。七年前、しのぶは仙台で哲也と出会い、結婚。今は都内のマンションで暮らしていた。