第1話
昭和40年11月。伊豆の大丸家別荘に、東京の病院院長・大丸耕造と妻の慶子が来る。別荘の管理人・静子が二人を迎えるが、静子も慶子も臨月の大きなお腹を抱えていた。その夜、静子に突然、陣痛が始まる。夫の龍作は漁師だが、酒とギャンブルに溺れ、その夜も居酒屋にいた。
静子は産婆や近所の主婦の協力で無事、女の子を出産する。子どもは「しのぶ」と名付けられる。
数日後、慶子に陣痛が始まる。慶子も女の子を出産するが、もともと心臓の弱い慶子は帰らぬ人となる。耕造の頼みで、静子は東京での慶子の葬儀が済むまで、夫婦の赤ん坊を預かることになる。