第10話 孝行娘と我儘娘
昭和四十七年十月、鏡子が育ててきた富貴子の子、ぼたんは満一歳の誕生日を迎える。一方、富貴子は女児を出産。「香世」と名付けられる。昭和六十年十一月、鏡子は板前の友重と結婚。ぼたんは中学二年生になり、三歳下の弟・和人をかわいがっていた。鏡子はぼたんには実の父親は死んだと話していた。看護師に復帰した鏡子の病院に偶然、冬子が入院。二人は顔を合わせるが、お互いに何も気づかなかった。香世はわがままな中学一年生だった。ある日、冬子の見舞いにいった香世が、ぼたんと偶然顔を合わせ、言葉を交わす。