第10話 第一香(だいいっこう)
身分を隠し、弟子として春喜座(しゅんきざ)に潜入した陸繹と今夏。一世を風靡した演目でありながら、役者の死から10年余りが過ぎた今でも第一香は上演されず、一座では禁句となっていた。座長は夜中に人目を忍んで抜け出すと、かつて一座が芝居を打った閬苑(ろうえん)を訪れ、雲遮月(うんしゃげつ)を供養しつつ霧隠花(むいんか)という名を口にした。手がかりを求めて閬苑にやってきた陸繹と今夏は幻覚術にはまり、雲遮月が第一香を演じる最中に急死する光景を目の当たりにする。
身分を隠し、弟子として春喜座(しゅんきざ)に潜入した陸繹と今夏。一世を風靡した演目でありながら、役者の死から10年余りが過ぎた今でも第一香は上演されず、一座では禁句となっていた。座長は夜中に人目を忍んで抜け出すと、かつて一座が芝居を打った閬苑(ろうえん)を訪れ、雲遮月(うんしゃげつ)を供養しつつ霧隠花(むいんか)という名を口にした。手がかりを求めて閬苑にやってきた陸繹と今夏は幻覚術にはまり、雲遮月が第一香を演じる最中に急死する光景を目の当たりにする。