第78回 「居酒屋遺産」探訪!東京・中野、旭川、横須賀
これまで数えきれぬほどの居酒屋を巡ってきた、居酒屋探訪家の太田和彦さん。今回は「居酒屋遺産探訪」と題して、その建物や店内の造作を含めて、歴史ある名店の魅力をお伝えします。
太田さんが提唱する『居酒屋遺産』の基準とは、創業が古く店が往時のままであること...。親子代々店を継承していること...。そして、庶民のための居酒屋であること...。
まずご紹介するのは、東京・中野の繁華街にひっそりと残る、大正時代に創業した居酒屋『らんまん』。
関東大震災からの復興建築らしく、正面に防火のための工夫を凝らした店舗兼住宅。太田さんが大好きな、ノスタルジックな佇まいです。
店内に入ると、丸太の素材を生かした欄間に黒電話...。そして、女将さんの祖父の代から使っているという鉄の茶釜。この茶釜で沸かしたお湯で淹れるお茶も、また格別なのです。
板前さんは、この店で30年以上包丁を握り続ける肴のプロ。魚介は、ほぼ毎日豊洲から届けられ、板前さんの眼鏡にかなう一級品が揃います。
太田さんが注文したのは、塩と酢で締めたコハダ。なんと、板前さんの包丁さばきで木の葉模様に! 食べるのがもったいないような美しさです。さらに、注文が入ってから締めるという穴子。この日は、九州・対馬産の特大でした。丁寧に串を打ち、10分近くかけて焼き上げます。
こちらでは、生魚、煮魚、焼き魚...何を食べても魚料理はトップクラス。太田さんの笑顔も止まらず、酒が進みます!
その他にも、太田さんが「居酒屋遺産」だと推した、旭川の『独酌三四郎』、そして横須賀の『銀次』をご紹介。ニッポンの宝「居酒屋遺産」の名店を、たっぷりとお見せします!