第43回 東洋の一流が集まる場所『岡田美術館』(神奈川・箱根)
●東洋の一流が集まる場所「岡田美術館」(神奈川・箱根)
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、女優志甫まゆ子が日本の美術館の魅力を再発見するトキメキの旅へ。今回の舞台は、神奈川県の温泉街で世界的観光地・箱根に2013年に開館した「岡田美術館」です。
●東洋が誇る一流の品々を人々と共有し、世界へ発信するために開館
日本画、陶磁器、仏教美術まで、重要文化財も多数所蔵。古くから日本で受け継がれてきた美術品を大切に守り、美と出会う楽しさを分かち合い、次代に伝え遺したいとの願いから構想され、日本とアジアの文化を世界に発信し、広く文化の創造に貢献することを使命として2013年に開館しました。
●狩野派VS長谷川派。尾形光琳の傑作も。金屏風が並ぶ「黄金の回廊」
すべて金屏風で構成された珍しい企画展。日本の屏風が大好きだというソフィーさんも絶賛。金屏風350年の歴史から、日本人の繊細な感性が読み取れます。注目は、画壇の覇者、狩野派と長谷川等伯が率いる長谷川派の作品。ライバル関係にあった絵師たちの作品を向かい合わせで展示することで、絵師たちの栄枯盛衰が見えてきました。さらに、琳派の歴史を通じても最も美しい菊花図の大作と評される、尾形光琳作「菊図屏風」も紹介します。
●孤高の奇才絵師、伊藤若冲の部屋
写実と想像とを巧みに組み合わせ、奇才とも呼ばれた伊藤若冲。「孔雀鳳凰図」はおよそ80年もの間所在不明だった作品で、2015年に岡田美術館に仲間入りしました。若冲初期の作品ながら、細部に至るまで緻密な描写が見られる傑作です。番組では、若冲が81才で描いた「三十六歌仙図屏風」も紹介します。
●館長が心ときめく逸品
東山魁夷の「朝の聖堂」。この作品が就任のきっかけにもなったという、館長の想いを聞きます。
紹介作品:喜多川歌麿「三美人図」、「木造薬師如来坐像」、「青磁柑子口瓶」、「青磁鉢」、野々村仁清「色絵輪宝羯磨文香炉」(重文)、尾形乾山「色絵竜田川文透彫反鉢」(重文)、尾形光琳「菊図屏風」、狩野派「春夏花鳥図屏風」、長谷川派「網代垣藤花・萩薄図屏風」、森徹山「春秋図屏風」、木村武山「葦に鳥図屏風」、若冲「三十六歌仙図屏風」、東山魁夷「朝の聖堂」ほか
取材協力:岡田美術館