第40回 大人の休日・浮世の憂さの晴らし方『サントリー美術館』(東京・六本木)
●大人の休日・浮世の憂さの晴らし方 「サントリー美術館」
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、タレント・福井セリナが日本の美術館の魅力を再発見するトキメキの旅へ。今回の舞台は、大都会の複合施設でアート鑑賞が楽しめる「サントリー美術館」です。
●西洋人にとっては驚き!複合施設にある美術館
オフィス、ホテル、ショップ、レストラン、公園など、130にも及ぶ施設が並ぶ東京ミッドタウン。「サントリー美術館」は、その複合施設の中にあります。設計は「和」の建築家・隈研吾。美術館のコンセプトは「生活の中の美」をひとりでも多くの人に愉しんでもらうこと。買い物、散歩がてらに立ち寄り、古来の日本の日常の中に溢れている「美」に触れる、そんな大人の休日を提案してくれる場所です。
●サントリー二代目社長・佐治敬三の想いから始まったコレクション
1961年の創立当時、日本の美術品は限られた人のためだけの嗜好品だった時代。海外の美術館、博物館を見て、日本の「美」の伝承の在り方に疑問をもったサントリー株式会社二代目社長・佐治敬三は、「生活の中の美」をテーマに美術品を収集しました。現在、サントリー美術館には、国宝、重要文化財、重要美術品を含む約3000点が所蔵されています。年に約5回ほど開催している創意工夫を凝らした企画展も魅力の1つです。
●「遊びの流儀 遊楽図の系譜」展を紹介
訪れたときは、「遊び」に着目した展示会が開催されていました。美術館の最初期のコレクション、狩野山楽の「南蛮屏風」や、南蛮文化の影響が色濃く残る「清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤」、屏風に描かれた人の気配を描いた傑作「誰が袖図屏風」や、続き絵が海外へと渡った「祇園祭礼図屏風」などから、古き時代の日本で愉しまれてきた粋な「遊び」の風景に着目します。
紹介作品:狩野山楽の「南蛮屏風」(重要文化財)、「清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤」(重要文化財)、「誰が袖図屏風」、「祇園祭礼図屏風」ほか
取材協力:サントリー美術館