第37回 ソフィ-・リチャード出演SP『東京都庭園美術館&旧久邇宮邸』《東京・白金&広尾》
●ソフィ-・リチャード出演特別編「東京都庭園美術館&旧久邇宮邸」へ
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。今回は、著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャード氏出演特別回。旧宮家の邸宅だった「東京都庭園美術館」と「旧久邇宮邸」へ。皇室の貴重な建築物、そしてその保存の重要性を紹介。
●アール・デコの装飾様式で統一された貴重な建物
戦前にパリに遊学された朝香宮夫妻の邸宅として、1933年に建てられ、名建築として、2015年に国の重要文化財に指定された。壁飾りから家具、照明器具にいたるまで、アール・デコとよばれる装飾様式で統一。玄関、大客室、大食堂、書斎などの主要部分の内装は、当時のフランスを代表する装飾美術家であるルネ・ラリックやアンリ・ラパンに依頼された。基本設計を担当したのは、宮内省内匠寮の建築家だった権藤要吉。朝香宮邸は、近代西洋に憧れる日本人の思いを実現した貴重な建築で、その記念碑として、1983年に「東京都庭園美術館」として開館。
●エコール・ド・パリの画家、キスリング展
2014年には、ホワイトキューブのギャラリーをそなえた新館がリニューアル・オープン。「東京都庭園美術館」は、建築、デザイン、装飾、そして絵画と彫刻とを自由に結びつけ、とらわれのない美術を目指し美術館としても発展を続けている。訪ねたときは、エコール・ド・パリの画家「キスリング」展を開催中。アール・デコとキスリングが織りなす絵画鑑賞の醍醐味、注目ポイントをソフィーさんに聞く。
●もうひとつの旧宮家の邸宅、旧久邇宮邸にも足を運ぶ。
聖心女子大学の中にある旧久邇宮邸。通称パレス。戦後の皇族解体で無くなった旧久邇宮家の敷地を取得し、1948年に大学が創設された。大学では文化財の保護を行うカリキュラムも組んでいて、貴重な建物を後世に繋いでいく取り組みも行われている。東京都庭園美術館を建築した宮内省匠寮の手による洋風・和風がミックスされた独特の皇室建築を、ソフィーズポイントとともに紹介する。
紹介作品:草間彌生「愛はとこしえ十和田でうたう」、チェ・ジョンファ「フラワー・ホース」、ハンス・オプ・デ・ビーク「ロケーション」、ロン・ミュエク「スタンディング・ウーマン」、栗林隆「ザンプランド」、オノ・ヨーコ「念願の木」「平和の鐘」、奈良美智「夜露死苦ガール2012」ほか
取材協力:東京都庭園美術館、聖心女子大学