第24回  江戸時代の華麗な美を生き生きと伝えるコレクション『徳川美術館』(愛知・名古屋)

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◆日本にはバラエティに富んだ魅力的な美術館があります。それを気付かせてくれるのは、フランス人の美術史家・ソフィー・リチャードさん。その魅力をまとめた書籍『フランス人がときめいた日本の美術館』を片手に、女優・松本愛が「トキメキ」の旅に出掛けます。

◆太平の世・江戸時代に繁栄した華麗な美術コレクションの数々を守る「徳川美術館」へ
徳川がもたらした長い平和と繁栄の時代。そんな江戸時代に発展した日本美術がいかに華麗で洗練されていたかを生き生きと伝える德川美術館へ。そこには名古屋城のお膝元で尾張徳川家が守り続けていた『道具』の数々がありました。尾張徳川家にとってこの『道具』は、それを使った人や時代に思いを馳せることができる特別なもの。400年もの間、大切に保管されてきたそのコレクションの保存状態にも驚きます。ソフィーさんは、特に「嫁入り道具の蒔絵の美しさは格別」と言います。近衛家という公家から嫁いだ福君様の婚礼道具の品々に描かれた蒔絵は、最高級の職人が手掛けたことを物語る逸品です。さらに、徳川美術館では、明治・大正・昭和と三世代の尾張徳川家のお雛様も展示中。中には、福君様のお雛様の婚礼道具を再現したミニチュア雛道具も。お弁当箱、化粧道具、小さな「源氏物語」まで、本物さながらに美しく描かれていました。美術館の創始者は、19代当主・徳川義親。明治・大正・昭和と変わりゆく時代に当主を務めました。代々の尾張徳川家の貴重な「道具」をバラバラにしてはいけないとの思いから、私財を投げ打ち美術館を開館しました。「徳川美術館」は、モノを通じて、培われてきた文化や歴史を紐解き、美しいもの愛でる心を教えてくれる・・・そんな場所でした。

紹介作品:「短刀:銘 正宗 名物 不動正宗」、「俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用雛人形」、「能面 小飛出」、「能装束」ほか

取材協力:徳川美術館