第21回 彫塑家・朝倉文夫が創った特別な空間『朝倉彫塑館』(東京・谷中)
●彫塑家・朝倉文夫が創った特別な空間「朝倉彫塑館」へ。
日本の美術館の魅力を纏めた一冊の本『フランス人がときめいた日本の美術館』。著者でフランス人の美術史家ソフィー・リチャードさんのメッセージをヒントに、女優、藤田可菜が日本の美術館の魅力を再発見するトキメキの旅へ。今回の舞台は、東京・谷中にある「朝倉彫塑館」です。
●国の登録有形文化財に登録された彫塑家朝倉文夫の自宅兼アトリエ
谷中は、昔の東京がそのまま残る風情あるエリア、猫の街として有名です。そんな街中に異彩を放つ、黒に塗られたコンクリートと伝統的な日本家屋のコントラストが印象的な建物が、今回ご紹介する彫塑家朝倉文夫の自宅兼アトリエだった美術館です。2001年には国の登録有形文化財に登録され、2008には「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定されました。
●朝倉文夫のこだわりと愛情
朝倉は、早稲田大学にある「大隈重信像」の作家としても有名。ソフィーさんが注目した地下に設置された電動昇降台や、水の豊かな故郷大分に想いを馳せて造られた庭を埋めつくす池、それを飾る日本各地から取り寄せた石など、随所に朝倉のこだわりが見えてきます。さらに、猫好きでもあった朝倉の猫の彫刻はまるで生きているかのよう。朝倉の愛情が感じられる作品です。朝倉はこのアトリエで、後進の育成にも力を注ぎました。
「朝倉彫塑館」は、彫塑家朝倉文夫の愛情とこだわりを感じるそんな美術館でした。
紹介作品:「大隈重信像」「墓守」「時の流れ」「砲丸」ほか
取材協力:朝倉彫塑館