第1回 森のなかの静かなアートスペース『ポーラ美術館』(箱根)
日本にはバラエティに富んだ魅力的な美術館があります。それを気付かせてくれるのは、フランス人の美術史家・ソフィー・リチャードさん。10年かけて日本の美術館を巡り、その魅力をまとめた書籍『フランス人がときめいた日本の美術館』が話題となっています。そんな彼女のメッセージをヒントに、「トキメキ」の旅に出掛けるのは、女優で詩人、ドラマや映画の脚本も手掛ける近衛はな。森の中に佇む静かなアートスペース「ポーラ美術館」が今回の舞台です。ソフィーさんのメッセージ、まずは、「日本に恋して・フランスに恋して」!国境を超えたアートがこの美術館にはあるといいます。その一つが、2018年に没後50年を迎える藤田嗣治。別名レオナール・フジタ。日本に生まれ、フランスに生きた画家です。ポーラ美術館は、日本一彼の作品を保有する美術館。2002年に開館したこの美術館に一番最初にやってきた絵も藤田の作品です。藤田はエコール・ド・パリを代表する画家でしたが、日本人であるという個性を意識し、常に他の画家たちとは一線を画す技法・表現にこだわりました。番組では、そんな彼の表現を支えた驚きの画材を紹介。これを発見をしたのも、なんとポーラ美術館の学芸員でした。さらに番組は、ポーラ美術館で年2回テーマを変えて行われる展示会にも足を運びます。現在スポットを浴びているのは、「孤高の画家」と呼ばれたルドン。色を排除したモノクロームの作品たち。奇想的な絵画のイメージが強いルドンでしたが、今回美術館が挑んだのは「新しいルドン像」を伝えること。そのために準備されていたのは、ある意外な名作でした。最後にソフィーさんのオススメポイント「五感で味合える美術館」の謎を探求します。ポーラ美術館が誇るコレクションに、印象派画家たちの名作があります。中でも注目を集めるのは、クロード・モネの「睡蓮」。この名画を五感で感じる工夫が・・・。それは、「内面の美」を求め続けた創業者鈴木常司のこだわり。ポーラ美術館は、森に佇む光に包まれたガラス細工の小箱のような、自然とアートが共生する素敵な場所でした。
紹介作品:クロード・モネ「睡蓮」「睡蓮の池」、レオナール・フジタ(藤田嗣治)「誕生日」「少女と猫」、オディロン・ルドン「日本風の花瓶」ほか
取材協力:ポーラ美術館
衣装協力:ALBINO TEODORO HUMAN WOMAN H/standard