第44回  傑作選『八代将軍・吉宗と名奉行・大岡越前』

歌舞伎俳優・尾上松也が、これまでひも解いた江戸幕府八代将軍・徳川吉宗と名奉行・大岡越前の謎を振り返ります。

徳川吉宗が将軍についた時代は、幕府の財政破たんと元禄バブルの崩壊でとんでもない状況でした。そんな中、彼は様々な政策で幕府の財政危機を救います。しかし、そこには痛みを伴うものも多くありました。大名や庶民の不満を上手くかわしながら幕府を再生した手腕とは。そこには、彼の出自と、将軍になるまでの紆余曲折が深く影響していました。
数々の名裁判が「大岡政談」として語り継がれる大岡越前守忠相。しかし、そのほとんどが、実際に彼がおこなったものではなく、大岡政談のうち大岡が担当した事件はわずか1件だけでした。なぜ、大岡は大岡政談によって名奉行と評されるようになったのでしょうか。また、大岡の生涯は波瀾万丈に満ちたものでした。お家断絶など、一族の度重なる不祥事により忠相の幕府役職就任は遅れ、町奉行就任後は力をつけてきた豪商たちと直接対決。対決に敗れた大岡は、吉宗によって町奉行をクビにされてしまいます。吉宗と大岡の知られざる関係とは。