第28回 広重『名所江戸百景』の鎮魂歌
今回のテーマは、「名所江戸百景」!
▼ひも解く歴史の謎
①幕府がひた隠しにした江戸城の震災被害
②江戸百景に描かれたのは、安政大地震の爪あと!?
③「広重ブルー」に秘められた思いとは
江戸時代の人気浮世絵師・歌川広重。彼が晩年に集大成として手掛けた作品「名所江戸百景」は、浮世絵風景版画の頂点といわれています。
江戸の四季を描いたこの作品には、研究者の間で大きな謎が。それは、広重が1万人の死者をだし江戸の町に大打撃を与えた「安政江戸地震」からの復興について描いたのではないかというもの。冬の浅草を描いた作品は、実は震災翌年の7月に描かれたもの。被害を受けた五重塔が修復されたことを、雪と門による紅白の色使いで表現したものではないかと言われています。この他にも、広重からのメッセージが秘められていると考えられる作品は多数。被害の様子を伝える「かわら版」が幕府によって発禁となる中、広重が震災からの復興の様子を浮世絵に忍ばせた理由とは。それは広重の出自にも大きな要因がありました。
歌舞伎俳優・尾上松也が、江戸の古地図を片手に謎をひも解きます。
古地図案内人:藤澤紫(國學院大學文学部教授)