ACT10  ダメOLが辞める時

sho2nd_10.jpg  満帆商事にも「能力主義」の波が押し寄せてきた。人事部の寺崎部長(高橋克実)と野々村課長(伊藤俊人)が社員の能力適性試験を始めたのだ。もちろん、試験結果によって「不適格者」というレッテルを貼って体のいいリストラを敢行しようというハラである。
 千夏(江角マキコ)をはじめとするショムニメンバーはもちろん、右京(石黒賢)、美園(戸田菜穂)らも、神妙にあるいは大胆に面接試験を受けていく。その中で佐和子(京野ことみ)だけは、おどおどと受け答えしている。「この会社で、何をしたいのか」という質問にも、「何だろう、分かりません ・・・」と情けない答しかできないのだった。

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 そんな折、ショムニの仕事は、会社が保有する熱川保養所の夏休み利用の予約を受け付け、抽選会を開くことだった。会社の厚生施設としては、アジア最大豪華ホテル規模という触れ込みである。それが、1500円で利用できるとあって、毎年人気沸騰し、予約会は大騒動となって、ショムニ仕切りで抽選会が開かれるのだ。

 また、余興の「そうめん流し」の準備にも余念がない。竹を切り、梅(宝生舞)がコンピューターで流体力学を計算し着々と完成させていく。だが、仕切り上手のあずさ(戸田恵子)は熱川の現地に飛んで、いない。雑用は、佐和子の肩にかかってくる。だが、あずさがいないためか、何かとドジ、粗相、失敗ばかりが続き、ぐっと落ち込む佐和子だった。

 そんなころ、社長室では、接待のために熱川の保養所を、希望がピークのお盆時期に一週間とるようにと、人事部の寺崎、野々村の二人に命令が下っていた。二人は、適性検査によるリストラで浮かした人件費をそれに当て、さらに、ショムニの持つ抽選執行権を人事部のものにして、専横しようと狙ったのだ。

 一方、佐和子の落ち込みは続いた。同期入社の仲間からは、お荷物、邪魔物、いらん子扱いの言葉が投げつけられ、更に寺崎たちが持ってきた「不適格」の認定にガックリとどん底に落ち込んでしまったのだ。もちろん、ショムニ全員不適格なのだが、それぞれ、「一芸」が認められた。佐和子だけ「ポイント無し。典型的な不適格者」と判を押されたのだった。まさに、「お荷物」となったのだ。美園だって「不適格」だったのに......。もちろん、右京は100点。

 その折も折、海外事業部に居合わせた佐和子は、右京あての電話を取り、大事な打ち合わせ日程の時間を聞き間違えてしまった。その情報は、人事部にも届き、寺崎たちの「ショムニ潰し」の格好のネタを与える結果となってしまった。さらに落ち込む佐和子。

 とうとう、佐和子は辞める決意をした。だが、千夏は言った。
「他人の物差しに振り回されてるんじゃないよ!自分の価値は自分で決めな」
 佐和子は、意を決して、交渉相手の会社社長室に飛び込んだ......。