第73回  花街の香り残る湯島で一献

花街の香り残る湯島で一献 第73回

今回のふらり旅は、学問の神様として親しまれている湯島天神でおなじみ、東京の下町湯島です。昭和初期まで芸妓置屋59軒、芸妓120名、料理屋15軒、待合31軒がならぶ花街でもありました。
まずは、湯島天神の境内を散策します。泉鏡花原作「婦系図」の舞台になった梅園を眺めて興に入った太田和彦さん、まだお酒が入る前ですが、「酔いどれ劇場」としゃれ込みます。湯島天神下で親子三代続く魚屋から独立した味噌漬け屋さんをのぞいた後は、小腹がすいたところでおひるごはんです。「鳥つね」は、大正元年創業の鳥料理専門店。名古屋コーチンと比内地鶏を使用したふっくらとした鶏肉に半熟の卵。「汁で食べる」のが特徴で、甘めの汁がたっぷりかかっているのが特徴です。
陽が傾いて、お目当ての一軒目は、青森の地酒と料理が楽しめる「あおもり湯島」へ。八戸出身のオーナー店主が切り盛りするお店は、仲買や市場を通さず、産地から直接仕入れた新鮮な素材を使った創作料理が売り。日本酒も豊盃、陸奥八仙、田酒など青森の地酒がそろいます。二軒目は、元芸者の女将が正座で接客をしてくれる「ふ多川」。花街の昔話を肴に、盃が進む太田さんでありました。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
鳥つね
東京都文京区湯島3-29-3 湯島白梅ハイツ1F

あおもり湯島
東京都文京区湯島3-37-3

ふ多川
東京都文京区湯島3-10-8