第54回  大阪 "ミナミ"の名居酒屋を呑みあるく

大阪 

庶民文化の街「大阪」。今回は2週にわたって大阪の街を呑み歩く。後編は、いわゆる「ミナミ」の地域を中心に伝統的な味を堪能する。「裏なんば」は、南海なんば駅の東側や千日前、日本橋のこと。かつてはキャバレー街としてにぎわった。「酒の兵吾」は午後2時に開店する立ち飲み屋。酒は奈良の銘酒"風の森"。この切れのある辛口がいける。日本酒に合う肴も豊富で、お手ごろ価格。これは、日本酒好きにはたまらない庶民の味方だ。「味園ビル」は昭和31年の建設。当時はモダンで高級感のある建物で、キャバレー、スナック、ダンスホールは連日の大繁盛をおさめた。ダンスホールの歌手にはデビュー前の和田アキ子やピンクレディーがいたとか。今は若い店主たちによるこだわりの飲食店が集う。ひっそりと佇む隠れ家風のおでん屋「酒肴 哲」。8席しかない小さな名店の定番は"大根"だ。あっさりだが深みもある絶妙な出汁はたまらなく旨い。お燗酒をかたむけつつ今宵も至福のひとときを過ごす。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
酒の兵吾(ひょうご)
大阪府大阪市中央区難波千日前3-1

DININGあじと
大阪府大阪市中央区難波千日前4-20

酒肴 哲(しゅこう てつ)
大阪府大阪市中央区日本橋2-7-27