第45回  東京・銀座 華やかな街の夜を愉しむ

東京・銀座 華やかな街の夜を愉しむ 第45回

華やかな世界都市「東京・銀座」。この大人たちを誘惑する魅力の街は、陽が落ちてますます輝きを放つ。誘惑にかられて向かうは昭和三年開業の老舗バー「ルパン」。太宰治や坂口安吾など文壇を代表する作家たちが愛した酒場だ。店の内装は作家たちが文藝論を激しく交わしていた当時のままだという。雰囲気は昭和そのもの。なるほど、昭和のはじめで時が止まったままなのか...。カウンターの隅に飲んだくれてうなだれる太宰の姿が目に浮かぶ...。往年の銀座風情を残す数寄屋通りの雑居ビル。老舗居酒屋「佃喜知(つくきち)」だ。名割烹で修業をした主人が昭和四十九年に創業。経木にずらりと書く品書きはほとんど千円以下で、銀座価格の心配は無用。看板は"本まぐろの中おち"が必ず入る"刺身適当盛り"。おすすめは"あおやぎ味噌タタキ"だ。銀座一等地の気軽な料理居酒屋は、今は少ない家族経営の温かさが残る名店だ。「みを木(みをぎ)」は、着物に白割烹着の若女将が迎えてくれる気の利いた居酒屋だ。女将は神田の名店「新八」で修業して独立。よって、酒も肴も心配なく、"イカと叩き蕨和え"や"蛤と里芋柔らか煮"など銀座らしい華やかさも添えて楽しませる。もちろん合わせる酒は最高だ。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
泰明庵(たいめいあん)
中央区銀座6-3-14

ルパン
中央区銀座5-5-11 塚本不動産ビルB1F

魚がし料理 佃喜知(つくきち)
中央区銀座6-3-5第2ソワレドビル 3F

佳肴 みを木(かこうみをぎ)
中央区銀座2-2-4ヒューリック西銀座第2ビル B1F