第42回  滋賀・長浜 秀吉の城下町で湖北の幸を味わう

滋賀・長浜 秀吉の城下町で湖北の幸を味わう 第42回

湖北の城下町「長浜」。秀吉が初めて城持ちになって開いた城下町だ。長浜城は、秀吉や山内一豊が出世したことから出世城とも呼ばれる。天守閣から見わたす琵琶湖や市街が素晴しい。かつては秀吉も眺めた情景なのだろう。北国街道が通る市街地。江戸時代には大通寺の門前町や北国街道の宿場として栄えた。今でもその町並みと情緒が残る。北国街道沿いの郷土料理「翼果楼(よかろう)」で腹ごしらえ。名物の"焼き鯖そうめん"は、甘辛く炊いた焼き鯖とそうめんを煮込んだもの。焼き鯖と山椒の相性が抜群だ。さて、夕暮れも近づいた。いざ、居酒屋。老舗の名店「住茂登(すみもと)」は、曽祖父の代から創業120年の歴史をもち、天然素材にこだわりをもった長浜の郷土料理を提供する。とりわけ、"鮒ずし"は一押しの逸品だ。肴の美味しさに酒もすすむ。さて、二軒目は、常に"にこにこ"と微笑みをたたえる美人女将が魅力の「能登」。"天然うなぎ白焼き"は脂が乗っているのにさっぱりした食感だ。琵琶湖の魚には太古から変わらぬ尊さがある。そして、長浜といえば鴨。塩胡椒で焼いた鴨とネギから野趣ある香りが立ち上がる。割烹だけに、料理の盛り付けはまことにみごとだ。お燗酒をかたわらに湖北の夜をゆっくり愉しむ。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
翼果楼(よかろう)
滋賀県長浜市元浜町7-8

住茂登(すみもと)
滋賀県長浜市大宮町10-1

割烹 能登
滋賀県長浜市朝日町2-2