第36回  山形・酒田 絶品海の幸と世界に誇る銘酒を味わう

山形・酒田 絶品海の幸と世界に誇る銘酒を味わう 第36回

日本屈指の米どころ「酒田」。江戸時代には北前船の寄港地、米の直送拠点として栄えた。今も農業倉庫として活躍する「山居倉庫」は米を集めて保存するために明治26年に建造された。土蔵と屋根の間に空間をつくり、風通しをよくする"二重屋根"や日本海の強風や夏の日差しから蔵を守るための"ケヤキ並木"の植樹など、昔から米の品質を守る工夫がされてきた。倉庫12棟が立ち並ぶ景観は、なるほど"米どころ酒田"の象徴だ。昭和22年創業の「そば川柳」で"ワンタンメン"を...。魚介醤油スープのやさしい味わいに、縮れ細麺、店主こだわりの"ワンタン"は透き通るほど薄くて大きい皮にお肉たっぷりでツルツルっと。あぁ、まろやかな満足感。「相馬樓(そうまろう)」は港都・酒田の"粋"を集めた"お座敷"だ。江戸時代から続く料亭「相馬屋」を修復してつくられ、大正時代には竹久夢二、野口雨情などの文人墨客も訪れた。酒田舞娘の踊りとみちのくの華やかな京文化を満喫する。さて、夕暮れも近づいた。今夜の名店は「久村(くむら)の酒場」。棟続き「久村酒屋」の創業は慶応3年というから驚きだ。さすがは栄えた商港の酒屋。燗酒は温めている寸胴に一升瓶を突っ込んだ"瓶燗"と豪快で、"腹わたがいっぱい入ったいか塩辛"などのお品貼紙が楽しい。ふけゆく商港酒田の玄関先で一杯やるのも旅の醍醐味だ。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
そば川柳
山形県酒田市中町2-6-9

相馬樓(そうまろう)
山形県酒田市日吉町1-2

まる膳
山形県酒田市中町2-3-23

キャバレー白ばら
山形県酒田市日吉町2-5-3

久村(くむら)の酒場
山形県酒田市寿町1-41