第33回  島根・松江 水の都と美酒の味わい

島根・松江 水の都と美酒の味わい 第33回

水の都「松江」。宍道湖(しんじこ)と中海(なかうみ)に囲まれた景観からこの町はそう呼ばれる。「松江城」はこの町のシンボル。千鳥が羽根を広げたように見えることから、別名「千鳥城」とも呼ばれる。天守閣は現存する12天守のひとつで、そこからの眺めはすばらしく、宍道湖や中海、城下の町並みなど"水の都"が一望できる。あぁ、いい眺めだ。さて、城下町の水景めぐりといくか。城と堀が当時のまま残る城下町は全国でも珍しい。堀を小舟でめぐる"堀川めぐり"の醍醐味は、舟に揺られながら城下のむかし懐かしい町並みや四季折々の森の自然や堀の美しさを堪能することだ。夕暮れも近づいた、さぁ一杯といくか。満々と水をたたえる大橋川の新大橋のたもとにある名店「やまいち」は、二代目の息子さんとお母さんで切り盛りするあたたかな居心地のいい店だ。鮮魚はみなすばらしいが、逸品をすすめるなら"宍道湖七珍"のひとつ"モロゲエビ"だ。10センチほどのを串にさし、軽く焙ったのを殻ごとカリッとやる。天然ものだけがもつなんとも愛らしい味に顔がほころぶ。さらに最高は、店を出て川風に当たりながら眺める名橋"松江大橋"越しの夕景だ。大空いっぱいのあかね雲は日本一の名に恥じない。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
うなぎやくも
島根県松江市東本町1-87

やまいち
島根県松江市東本町4-1

よびこ
島根県松江市東本町3-61