第32回  長崎 異国の情緒と銘酒の味わい

長崎 異国の情緒と銘酒の味わい 第32回

異国情緒豊かな街「長崎」。1858年欧米各国と修好通商条約を締結した。以降長崎は自由貿易港として開港され、欧米人の住宅街として異国情緒豊かに発展した。「オランダ坂」の石畳をのんびり散策。この坂は欧米人を"オランダさん"と呼んでいたことからこう名付けられたとか。少し足を伸ばす。このあたりは長崎を愛し暮らした貿易商たちの邸宅が形を変えることなく残る。「グラバー園」は、長崎開港と同時に来日したトーマス・グラバーが1863年に建設した住宅の跡地だ。グラバーは、日本初の蒸気機関車を走らせたり、初めてビールを販売するなど、日本の近代化に様々な影響をもたらした。キリンビールラベルの麒麟に太い口ひげが描かれているのは、グラバーの口ひげが所以だとか。さぁ、夕暮れも近づいた。いざ、居酒屋へ。創業40年の老舗「安楽子(あらこ)」だ。古い店内は清潔に磨きあげられた艶が美しい。気さくな主人、英国風美人の奥さん、いい男の息子さんらの温かい家族的な雰囲気が最高だ。長崎人の定評"男は親切、女は美人"もうなずける。居心地のよい名店で今夜も郷土料理と銘酒を味わう。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
京華園(きょうかえん)
長崎市新地町9-7

安楽子(あらこ)
長崎市浜町7-20

こいそ
長崎市本石灰町4-3