第22回  静岡 霊峰富士と駿府の恵み

静岡 霊峰富士と駿府の恵み 第22回

日本人の心のよりどころ"霊峰富士"を望む街「静岡」。
「三保の松原」は海岸線に約五万本の松が茂る。その美しさから日本新三景、日本三大松原のひとつとされ、世界文化遺産"富士山"の構成資産に登録された。北斎、広重、大観など多くの絵師たちが富士や松原を描いてきたが、庶民的なところでいうと昔ながらの銭湯でよくみる風景だ。気分は、"極楽、極楽"。「駿府城公園」は徳川家康が築城した駿府城跡地。家康死後、天守閣は焼失したが、東御門巽櫓は見どころだ。家康像にお参り...。
「丸子宿(まりこじゅく)」は、東海道五十三次の二十番目のもっとも小さい宿場。今に残る、格子戸の家や間口が狭く奥行の深い家並みなどは当時の様子を思わせる。1569年創業の「丁子屋(ちょうじや)」は、"とろろ汁"の名店。自家製の自然薯と鰹だしの効いた味噌汁であわせたとろろ汁が自慢だ。この素朴で自然な味わいに400年の歴史を感じつつ...、夕暮れの街に繰りだそう。
「青葉おでん街」は、戦後、軒を連ねていたおでん屋台が再開発のため撤去され、現在の場所に集まってできた"おでん街"。静岡おでんは、牛すじの出汁の効いた濃いつゆで煮たおでん種を"かつお節の粉"と"青海苔"と"からし"でいただく。これが旨い!次なるは、大正12年創業、静岡の名物居酒屋「多可能(たかの)」だ。飴色に艶をたたえた店内が素晴しい。座敷の床の間に飾られる創業時の額"大衆酒場"は、初代から語り継がれる大切な言葉と三代目主人が語る。
今宵は静岡の地酒"萩錦"をお燗でもらおう。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
丁子屋(ちょうじや)
静岡県静岡市駿河区丸子7-10-10

多可能(たかの)
静岡県静岡市葵区紺屋町5-4