第9回  会津 鶴ヶ城下・郷土の味

会津 鶴ヶ城下・郷土の味 第9回

鶴のように美しく、堅牢な会津の象徴「鶴ヶ城」。
会津藩主23万石の居城だ。戊辰戦争では、激しい攻防戦に耐え、難攻不落の名城と称えられた。
天守閣からは会津若松市内はもちろんのこと、白虎隊自刃の地として有名な「飯盛山」などが見渡せる。
いい眺めだ。悠久の時を超え幕末の志士たちに想いをはせる...。
さぁ、散策といくか。「桐屋・権現亭」は会津屈指のそば処"山都"出身の店主が営む。会津藩主保科正之公ゆかりの"高遠そば"は豊かな風味と強いコシが特徴だが、辛味大根の絞り汁がこれまた実に良い相性だ。
漆器の老舗「白木屋漆器店」は江戸時代中期の1720年から続く。
戊辰戦争の後には荒廃した会津塗りの復興につとめ、海外にも販路を拡大した。
輸出された漆器は"ジャパン"と呼ばれ、浮世絵と並び欧州の美術界に日本ブームを巻き起こした。
ルネサンス様式のモダンな建物は大正ロマンを感じさせる。
夕暮れも近づいた、鶴ヶ城の夕景とともに居酒屋へ。
「鳥益」は会津でも特に充実した一軒。若女将を中心に女性ばかりの雰囲気のいい名店だ。
おすすめは"どじょう鍋"。熱々の土鍋に丸どじょう・ニラ・半とじ卵。これは悶絶級の旨さだ。
二つ目は、お母さんが時間をかけて焼く"長なす焼"。
わらわらと身もだえする削り節に醤油タラーリで、焼なす好きの涙を誘う。さぁ、もう一軒いくか...。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
桐屋 権現亭(きりや ごんげんてい)
福島県会津若松市上町2-34

鳥益(とります)
福島県会津若松市宮町4-17

籠太(かごた)
福島県会津若松市栄町8-49