第8回  松山 文豪ゆかりの地で海の恵みを味わう

松山 文豪ゆかりの地で海の恵みを味わう 第8回

3千年もの歴史を持ち日本書記にも登場する「道後温泉」。
日本最古の温泉とも言われれ、木造三階建てのどっしりとした外観は歴史の重みと郷愁を感じさせる。
漱石の「坊ちゃん」では"住田の温泉"として登場するが、漱石自身も正岡子規や高浜虚子などと連れ立って毎日のように通っていた。
あぁ、文豪にゆかりの深い地でひとっ風呂といきたいところだが...。
散策ついでにたどり着いたのは、松山市の中心、銀天街の路地裏にひっそりと佇む「ことり」。
昭和24年に創業した歴史ある鍋焼きうどん屋だ。昭和のノスタルジーに浸りつついただく鍋焼きは、いりこと昆布でとった出汁に独自の醤油で味付ける。
やわらかく優しい味わいだ。料理を早く提供するため、鍋は全てアルミ製。創業からの歴史を感じさせる工夫だ。
夕暮れとともに居酒屋へ。
「たにた」は松山の名店。四季折々の瀬戸内小魚料理が愉しめる。
のれんをくぐると、割烹着姿の女将に笑顔で迎えられカウンターへ。
日本酒のラインアップは魚料理を引き立てるため辛口が中心だ。
土地の銘酒を選ぶ。肴には"おこぜの薄づくり"。
半透明の身は、噛みしめると特有の甘みが舌に広がる。これがたまらなく旨い...。

<太田和彦さんが訪ねたお店>
ことり
愛媛県松山市湊町3-7-2

四季瀬戸の味 たにた
愛媛県松山市二番町3-7-4

バー露口(つゆぐち)
愛媛県松山市二番町2-1-4